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桜と日本人(あらぐさ抄) | 高橋実の本棚

あらぐさ抄(長岡よみうりのコラム)column

桜と日本人 あらぐさ抄

 

桜と日本人

 4月は桜の季節である。桜は日本を代表する花と言える。俳句でも「花」と言えば桜を指す。花と桜は意味を同じくするようになった。あちこちで桜祭りのチラシが目立つ。入学試験の結果で、合格は「桜咲く」、不合格は「桜散る」と言って合否を桜に例える知らせは今でもあるのだろうか。
 奈良時代に編まれた『万葉集』の中で詠まれた梅は110首であるのに対して、桜は43首という。この時代、桜より梅が一般的だったようだ。しかし、平安時代になると日本人の人気は桜一辺倒となって、勅撰八代集の初めである『古今和歌集』では春の部133首のうち桜が74首で梅は26首、最後の『新古今和歌集』となると春174首のうち桜が135首で梅は17首という結果とか。こうして桜が日本に一般的になった。
 『同期の桜』という軍歌がある。「貴様とおれとは/同期の桜/同じ兵学校の庭に咲く/咲いた花なら散るのは覚悟/見事散りましょ/国の為」桜の花がパッと咲き、すぐ散ってしまう性質は日本人の気性に合っているようだ。それにしてもこの歌を歌いながら何人の若い命が戦場に散ってしまったことか。(ひこぜん)

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