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跡隠しの雪(あらぐさ抄) | 高橋実の本棚

あらぐさ抄(長岡よみうりのコラム)column

跡隠しの雪 あらぐさ抄

 

跡隠しの雪

 12月23日は大師講と呼ばれる日である。西洋のクリスマスと重なるように、この日、弘法大師が諸国を回る日と言われている。
 ある寒い年の事、小さな村に旅のお坊さんがやって来て、一晩泊めてくれる家を探していた。けれど、どの家に行っても断られる。断られ続けたお坊さんは、最後に村で一番貧しい一人暮らしのおばあさんに頼む。お婆さんは親切に泊めてやるが、坊さんに食べさせるものもないほど貧しい家だった。家に入ったお坊さんは、いろりのそばに座ると、念仏を唱え始めた。その姿を見たおばあさんは、せめて坊さんに食べる物でもとこっそり地主の家の大根を盗んで来て坊さんに御馳走する。しかし、外を見ると足跡が隣の家から続いていて泥棒したのがすぐわかってしまうと心配する。
 ところが翌日白い雪が降って足跡をすっかり消してしまう。 坊さんはお婆さんの心を知っていて、足跡を隠すために雪を降らせたのだった。そして親切なお婆さんに幸運を授けてやったという話がある。お坊さんは実は弘法大師様だった。
 12月23日は「大師講の跡隠し」と言って必ず雪が降るといわれている。今年は果たしてどうか。(みのるん)

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