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ムジナととっつぁ―高橋ハナ昔話集― | 越後の昔話集

著書紹介book

『ムジナととっつぁ―高橋ハナ昔話集―』を紹介します。

ムジナととっつぁ―高橋ハナ昔話集― 越路町史編集委員会民俗部会/編

ムジナととっつぁ―高橋ハナ昔話集―
はじめに(抜粋)

 平成五年四月、越路町東谷(こしじまちひがしだに)地区での民俗資料聞き書き調査の時である。集まってくださった地域の人々のなかに、「昔話のすごい語り手」がいることを知った。その方が高橋ハナさんであり、稀にみる一〇〇話以上の語り手だったのである。
 高橋ハナさんの発見は幸運であった。ハナさんは、平成三年の春から少しずつ聞き覚えた昔話を思い出しながらノートに書き止めておられたのである。その昔話のノートをもとにして、この双書をまとめた。
 ハナさんは大正三年二月二〇日越路町大字東谷字阿蔵平(あぞうびら)に生まれ、兄弟姉妹六人のなかで五人目の三女である。ものごころがついた時には、祖母、父母、そして兄弟姉妹がいて、長兄は結婚して子どももいた。山村に育ったハナさんの幼少の頃は、大正時代である。ラジオもテレビもなく、当時の子どもたちの最大の楽しみは、身近にいた祖母や母から昔話を聞くことであった。そのなかでも兄佐平治とハナさんは、昔話を聞くのが大好きであった。
 ハナさんが祖母や母、そして兄から聞いた昔話は、正月やメイゲツ・モンビというハレの日でなく、必ず夜語られるというわけでもなく、普段の日の昼も夜も語られていた。
(中略)
 昔話は、本来言葉により語り継がれてゆく文芸であり、絵本など文字を通じて伝えられてゆくものではない。その意味からすれば、昔話集の発刊はおかしいのかも知れない。
とはいえ昔話は伝承されなければなんにもならない。つまり「高橋ハナ昔話集」は、資料として価値あるものというだけでなく、伝承という行為に参加できるもの、参加すべきものと考えて編集したのである。故に望むらくは、昔話を支えている伝承者の心を読み取り、「こんな昔話があった」というだけでなく、一話でも二話でもが、新たな形で親から子へ、子から孫へと語り継がれてゆくことを希望してやまないのである。
  平成七年三月
                           民俗部会長 大竹信雄


 
目次
(下線のついたものは、昔話を読むことができます。)
はじめに
T 本格昔話
 l 夢買長者
  1 白椿の下のかながめ
  2 初夢
  3 夢買長者
  4 三の夢
  5 おはぎの夢
  6 三匹のアブ
 2 産神問答
  1 青竹三本と米一石
  2 アブの命
  3 水の命
 3 水神の国
  1 池の主
  2 もととりやま
 4 宝の呪物
  1 一本歯のげた
  2 塩ひき臼
  3 聞き耳ずきん
  4 庚申様のお礼
  5 宝の袋
  6 オオカミのまゆ毛
 5 誕生話
  1 ワシと子ども
  2 かんなりさまの子
  3 瓜姫
 6 異類女房
  1 くずの葉の子別れ
  2 天人女房
  3 さかな女房
  4 大蛇の目
  5 カエルのかか
  6 キクの恩返し
 7 異類婿
  1 嫁と牛
  2 木魂婿
  3 じさとおとんじょ
  4 ヘビ婿
  5 たかの卵
 8 異類交流
  1 さとり
  2 貧乏神
  3 石イモ
 9 嫁としゅうとめ
  1 しゅうとばさと嫁
  2 まんじゅう屋の機転
  3 鬼の面
  4 後家と子ども
  5 ボタとカエル
 10 夫婦話
  1 ヘビになったかっか
  2 絵姿女房
  3 恋の病気
  4 正直な夫婦
  5 あにとあね
  6 せがれ夫婦の親孝行
 11 親子話
  1 安寿姫と厨子王丸
  2 親を助けた娘
 12 隣のじい
  1 焼くもちごろごろ
  2 腰折りツバメ
  3 ネズミの浄土
  4 じさとあんじゅ様
  5 鳥のみじさ
  6 見るなの蔵
 13 大歳の客
  1 笠地蔵
 14 兄弟話
  1 歌うカメ
  2 鉄砲撃ちの兄弟
 15 まま子いじめ
  1 カエルの皮
  2 スズムシ、マツムシ
  3 ままはは
 16 かくれ話
  1 三枚の札
  2 馬方と鬼ばさ
  3 旅人馬
 17 人とキツネ
  1 キツネの恩返し
  2 キツネのちょうちん
  3 キツネと山伏
  4 ばくろうとキツネ
  5 あにとキツネ
  6 キツネの仕返し
  7 平兵衛のいたずらもの
  8 キツネにだまされた嫁
  9 庄屋とキツネ
 18 動物の報恩
  1 ヘビの恩返し
  2 ハチの恩返し
  3 ツルの恩返し
  4 ツルの涙
  5 お月様と子ども
  6 猫の恩返し
  7 三匹の田
 19 おろかな動物
  1 古ダヌキ
  2 しっぺい太郎
  3 化け茶釜
  4 尻切り稲荷
  5 荒巻のカエルと本与板のカエル
  6 片目のじさ
 20 化け物退治
  1 ムジナととっつぁ
  2 まごべえのおっかんがりや
  3 ばさと猫
  4 ねこまた
  5 化けムジナ
  6 クモの化け物
  7 きのこの化け物
 21 樹木の化身
  1 大木と娘
  2 松の木の伊勢参り
 22 幽霊話
  1 播州皿屋敷

U 笑い話
 1 愚か者話
  1 あわてもの
  2 金を拾ったら
  3 馬鹿あに
  4 ちゃくりかき
  5 どっこいしょ
  6 おっけけ
  7 太郎と次郎
 2 知恵者話
  1 鼻かぎ権兵衛
  2 おはぎと座頭
  3 のめしのあに
  4 彦一とタヌキ
  5 牛の子八匹
  6 うばすてやま
  7 どろぼう
  8 ネズミの彫り物
  9 松の山鏡
  10 知恵試し
  11 無筆の手紙
  12 鎮守様とこじき
 3 和尚と小僧
  1 ふうふうとんとん、いいかん
  2 和尚様と小僧
  3 和尚様と三人の小僧
 4 誇張話
  1 てんぐの隠れみの
  2 若がえりの水
  3 カモ取りごんべえ
  4 豆の木
  5 屁っこき嫁
  6 かんなり様と桶屋

V 動物・植物昔話
 1 動物の競争
   1 タカとエビとエイ
   2 サルとヒキガエル
   3 キツネ、タヌキ、ウサギ
 2 動物の闘争
   1 さるの生肝
   2 ふるやのもり
   3 サルとカニ
   4 クマとキツネ
   5 モズとキツネ
   6 町のネズミと村のネズミ
 3 動物の由来
   1 ヒバリの金貸し
   2 スズメとケラツツキ
   3 十二支のはじまり
 4 植物の由来
   1 ワラとスミとサヌキマメ

 解説 高橋ハナさんとその昔話

 
あとがき より

   あ と が き
 民俗部会では、これまで町内一○地区で聞き取り調査を実施させていただきました。東谷地区の話者の一人に、高橋ハナさんがおられ、昔話をたくさん記憶されてることを知りました。「編さんだより」の取材でお宅を訪問する機会があり、その場で語っていただきましたが、このような昔話をなんとか残せないものか、また、この感動を誰かに伝えたいものと思いました。幸い、聞き取り調査にあたった民俗部会の先生方も同感でありました。こうしてこの双書が誕生したのです。
(中略)
 本書の昔話は、高橋ハナさんのノートと語りをもとに、高橋実専門委員により編集されたものです。高橋ハナさんの生い立ちをできるだけ客観的に記録したい、ということで高橋ハナさんと娘の陽子さんから二回聞き取り調査をさせていただきました。昔話ばかりでなく、高橋ハナさんの生活の一面もお教えいただきました。あらためてご協力いただきましたことを、感謝申し上げます。解説部分は、おもに大竹信雄部会長を中心に専門委員の先生方が、話し合いながらまとめました。なお、昔話の挿し絵は町内各小学校六年生の児童のみなさんから描いてもらい、表紙、中扉および作者名のないものは町教育委員会の安藤正芳矯より担当していただきました。こころよく引き受けいただいた、各校長先生、担任の先生方をはじめ児童のみなさん、そして安藤正芳氏に深く感謝申し上げます。
                            (渡辺 茂記) 民俗部会

部会長 大竹信雄 高橋 実(本書編集担当) 三井田忠明 渡辺三四一 大竹 温


 
お求め

<本の事項>
書 名 『ムジナととっつぁ―高橋ハナ昔話集―』
著者名 越路町史編集委員会民俗部会/編
出版者 越路町
出版地 新潟県三島郡越路町
出版年 1995年
頒 価 1400円 (残部僅少)

・ご購入のお申し込みや内容のご質問は高橋実(0258-95-2340)まで。
・メールアドレスは、111(迷惑メール防止のため画像です)
・その他お問合せは、長岡市越路支所地域振興課教育支援係(0258-92-5910)まで。

 

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