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越後山襞の語りと方言 | 著書紹介

著書紹介book

『越後山襞の語りと方言』を紹介します。

越後山襞の語りと方言  高橋 実/著

越後山襞の語りと方言
あとがき

 越後の昔話に関わって二十年がすぎた。本文に書いたように小国芸術村運動の若林一郎・故西山三郎両氏の影響を受けてからだった。
 以来、昔話の世界にのめりこんでしまった。ついには、自ら語り部となってしまった。 この世界は、奥が深く、中に踏み込んで行くと時間を忘れ、つい出口を失ってしまう。
 それにしても、一生の間に「昔話」のことを書いて一冊の本にまとめるとは、思わなかった。まだまだその奥深い世界の一端に触れたに過ぎない。おこがましくも、本にしようときめたのは、わが人生の黄昏を意識したからでもある。七十歳に手が届こうとしている今、これから先、こうした本を出すことは無いだろう。
 第一章・二章は、時間を隔ててさまざまなところに書いたものをまとめたため、ダブリが多く読みにくいものになってしまったことをおわびしたい。
 第三章は、長岡新聞の求めに応じて書いてみた。解説に当たっては『日本昔話事典』を大いに参考にさせてもらった。昔話には、個々に語り手が題名をつけていて、同じ話でも題名が全く違っているものもある。植物や昆虫の名前を調べると同じように、方言しか知らないものを図鑑で調べるには、多くの困難がともなう。昔話も個々の話 を事典でどう読んでいるか、探すのに苦労する。笠地蔵や三枚の札などは、どこでも通用するが、小国の昔話の中で、「人年貢とるむじな」は「猿神退治」と呼ばれるもので、「兄とおじの鉄砲撃ち」は「山姥の糸車」だった。解説を書こうとすると、その話がなんと呼ばれる話なのか、探すのに時間を取られる。
 水沢氏の膨大な著書は、昔話の宝庫新潟県の文化財収録という大事な役目を担ってゆくだろう。ただ、これ等の本にでてくる話が、活字化だけで終わってしまっては、意味が半減する。これをどのように語り継いでゆくのか。この昔話が現代という社会でどのような意義を持つものか、検証してゆく必要を痛切に感じる。水沢氏の著書を読んで「い」 と「え」の混同がいくつか見られるのに気づく。氏もまた越後人だと思い、微笑ましくもなる。
 この本のために会津美里町の村野井幸雄先生から序文をいただいた。平成十八年八月福島郡山市の「東北民話祭」で先生にお会いした。蛯原由起夫のペンネームで詩人でもあり、会津各地の校歌を数多く作詞されている。長岡には、娘さんが嫁いでいるというので話が弾んだ。昨年秋の長岡の語りの会にははるばるお出でいただいて、お話を聞く機会をもった。その時、来られた会津の語り部五十嵐七重さんは、小さい頃聞かされた酒呑童子の唄を唄われた。先生も書かれておられるように、会津と聞くと、長岡には、懐かしい隣人のような親しみを感じる。今秋には会津の語りの会一行がわが長岡を訪ねて下された。一度付けられた道を多くの人たちが往復してますます広い強固な道になることを願っている。序をいただいた村野井先生にこころよりお礼申し上げたい。
 最後にこの本は私の勤めるあかつき印刷鞄烽フ雑草(あらぐさ)出版がISBNコードをつけて出す記念すべき最初の本である。雑草出版の成功を祈念したい。
 平成十九年七月二十八日
                               高 橋   実


 
目次
    序  蛯原由起夫

第一章 昔話の語り活動

     新潟県の昔話
     昔話の語り
     わが昔話の軌跡
     語りつくし越後の昔話
     語り継ごう越後の昔話を
     水沢謙一氏の思い出
     長岡民話の会の結成
     広がる「昔話の語り」運動
     今なぜ民話の語り活動か
     語りの現代的意義

第二章 昔話の世界をのぞく

     ことば遊びの昔話
     昔話にあらわれた猫
     昔話の中の和歌
     昔話の負の遺産
     昔話集の中のオノマトペ
     昔話世界の光と闇
     百物語
     サル婿入り民話

第三章 長岡に伝わる民話

     はじめに
     1.サル婿入り
     2.三枚のふだ
     3.笠地蔵
     4.ふるやのもり
     5.葬式の使い
     6.宝手拭
     7.姥の皮着た娘
     8.手無し娘
     9.焼く餅ごろごろ
     10.サルの生き胆
     11.見るなの蔵
     12.秋山のぶつ
     13.兄とおじの鉄砲打ち
     14.仁王
     15.十二支の由来
     16.食わず女房
     17.大年の火
     18.大年の客
     19.サルと蛙の寄合餅
     20.和尚と小僧
     21.夫婦の因縁
     22.木の股年
     23.ハチになった魂
     24.さとる
     25.こうばこ
     26.化け物寺
     27.ほらがいの婿
     28.あわぼこ・こめぼこ
     29.若返りだんご
     30.昔話の好きな婆さ
       初出誌一覧
       あとがき
       扉装画 関玲子

 
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<本の事項>
越後山襞の語りと方言
著者名 高橋 実/著
出版社 雑草出版
出版地 長岡
出版年 2007年
定 価 2200円+税
ISBN 4-903854-00-7

越後山襞の語りと方言
 

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