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青竹三本と米一石【産神問答】越後の昔話集

青竹三本と米一石(越後の昔話)mukasi

青竹三本と米一石【産神問答】

―高橋ハナ昔話集―より | おもしろい新潟県の昔話

 
青竹三本と米一石

 あったてんがの。村のだんな様と貧乏な家のつぁつぁ(父親)と二人して京参りにいったてんがの。どっちもかか(奥さん)が身持ちで子どもが生まれそうだすけ、早く帰ろうと思って急いで戻ってきたてんがの。隣村まできて日が暮れて真っ暗になったんだんが、お宮に泊まっていたてんがの。夜中にパカパカと馬のあえんで来る音にだんな様が目を覚ましていたと。貧乏のつぁつぁは、グウグウ寝ていたと。馬の音はお宮の前で止まって、だれかが呼びに来たてんがの。
「鎮守様、今晩は。坂の下の村でオビヤ(産屋)ができるすけ、迎えに来た」
と神様がようたと。鎮守様は
「そうか。おれは今夜お客がとれていがんね(行けない)」
とようたら、迎えにきた神様は、急いでいがしたと。
ちっとめたら、その神様が戻ってこらしたてんがの。ほうして
「今戻ってきたぜ」
とようと。
「ごくろうだった」
と。ほうして
「何子がうまれたいの」
と鎮守様が聞くと、
「村のだんな様の家で男の子が生まれた。運は青竹三本とようことにしてきた」
とようたと。だんな様は
「こらあ、良くないな」
とがっかりして、それから目がさえて眠らんねえうちに、またパカパカ馬の音がして、さっきの神様がきて、「また坂の下の家で子どもができるんだんが、行ってきた。こんだ、貧乏な家に女の子が生まれた。その子の運は、米一石とようことにしてきた」
といったと。鎮守様は
「一晩に二人もご苦労らったの」
とようと、その神様はまたパカパカ音を立てて帰っていったと。だんな様は
「この男は知らんで寝ているが、この男の家に女の子が生れたがらな。こらいいな」
そう思うて聞いていらしたと。夜が明けて、二人してお宮から出て、急いで家に帰ったと。やっぱり、だんな様の家では、男の子、貧乏の家では女の子が生まれていたと。二人の子どもはだんだんでっかくなって嫁を取る、嫁に行く年ごろになったと。だんな様が貧乏な家にいって、
「あの子をおらどこのせがれの嫁にくれてもらいたい」
とようんだんが、喜んで嫁にやったてんがの。だんな様の家はその嫁がきてから、米一石の良い運をもっているんだんが、だんだんしんしょうが、良くなると。せがれは、
「あんげの貧乏の家の娘がおれの嫁だなんて気に入らねえ」
と思って、いつもプリプリ怒っていると。だんな様が死んでしもうと、その嫁を出してしもうたと。嫁が家を出るとき、馬一頭もらって出たと。嫁は馬に乗って
「馬、馬。おら今さら家に帰らんねえすけ、因縁(いんねん)のあるどこに行ったら止まってくれ」
とようたてんがの。馬はある村の貧乏な小屋のようなとこで止まったと。嫁は馬から下りて
「道に迷って暗くなってしまったすけ、今夜一晩泊めてくれ」
とようたら、ばさが出てきて
「なじょうも泊まるがいい。せがれもすぐ帰ってくるすけ、あがって休め」
とようて泊めてくれたと。せがれも帰ってきて、嫁は気立てもいいし、その家にいるようになったと。ばさはせがれの嫁に欲しくなって、
「おめえさん、おらせがれの嫁になってくれんか」
と頼んだと。その嫁は
「おらのようなもんで良かったら喜んで」
とようて、そこの嫁になったと。そこの家の嫁になって、働いているうちにいいことばっか続いて、ごうぎしんしょうが良くなったと。
 もとのだんな様の家では、嫁が出てしもうて、だんだん貧乏になって、その若だんなはこじき同然になって、ざる売りになって、そこらを売りに歩いたと。ある時、もとのかかのいるしんしょうのいい家に、自分は知らんで若いショと二人で泊めてもらったと。かかが見たら、もとの亭主だんだんが、ざるをみんな買ってやり、出るときには、焼き飯に金(かね)を入れてくれてやったと。道中でお昼になって、その焼き飯を食おうとしたれば、若だんなは、せっかくの金の入った焼き飯をどっかに落としてしもうたと。青竹三本の運でしまいにはざる屋になり、授からない運はどこまでも授からない。金のはいった焼き飯を落としてしまうて、米一石の運は何しても運がよく、どこまでもいかったてんがの。人は生まれるときに運を定められているもんだと。いきがさけた。


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