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鬼の面【嫁としゅうとめ】越後の昔話集

鬼の面(越後の昔話)mukasi

鬼の面【嫁としゅうとめ】

―高橋ハナ昔話集―より | おもしろい新潟県の昔話

 
鬼の面

 あったてんがの。あるどこにしゅうとばさと嫁があったてんがの。その嫁が後生願(ごしょうねが)いで毎日毎日お寺参りをしていたてんがの。しゅうとばさが、じゃんで(やきもちをやいて)後生願いしる嫁が気に入らんで、どうしょうもないと。嫁は夜なべ仕事に糸を取って、それからお寺参りをしていたと。ばさはそれがまた気に入らんでどうしょうもないと。なんとかしてお寺参りをやめさせようと思うたろも、一日の仕事をして、夜なべ仕事までしていくんだから、どうしようもなかったと。またある晩に嫁は、夜なべ仕事をしてから、隣村の遠いお寺まで行ったと。ばさは、
「あの道中におっかなげの森があるすけ、こんにゃ(今夜)というこんにゃは、おれが鬼の面をかぶって、出て、たまがして(おどろかして)やる。そうせば、おっかんがって、こんだお寺参りをやめるだろう」 と思うて、ばさは、森へ行って、おっかなげな面かぶって、嫁の来るのを待っていたと。ほうしると、嫁が
「なんまいだ、なんまいだ」
とぶつぶつお経をいいながら、来たと。ばさは
「よし、嫁のやつ来たな」
とやぶから出て嫁の前に行ったと。ほうしたろも、嫁はちっともたまげねで、
「なんまいだ、なんまいだ」
とお念仏をようてあえんでゆくと。ばさはそこで、嫁をたまがす事も、どうしることもならんかったと。
ばさのほうでたまげてしもうて、
「あねが先に行くとおおごっだ。おが先に行かんばならん」
と思うて、近道通って先にうちに来たと。途中で鬼の面取ろうとしたろも、顔にくっついて、どうしても取れんと。そのうちにうちについたろも、面が取んねんだんが、布団をかぶって寝ていたと。
「いってきたれ」
とあねが帰って声かけたろも、ばさの返事がない。
「ばさは寝たようだな」
と思うて、あねも寝たと。ほうして、朝げになってあねがまんましたろも、ばさがいってい起きてこないし、「まんまにしょうぜ」とようろも、起きてこない。
「はて、病気にでもなったろうか」
と思うて、布団をまくって見たれば、鬼の面かぶって寝ていたと。ばさは面の下で、
「あね、あね、勘弁(かんべん)してくれや。おれが悪かった。おまえのお寺参りを止めさせようと思うて、この鬼の面かぶったれば、今度取ろうとしても取れない。おれが悪かった」
とようたと。嫁は
「そうか、そうか、そんげのがん、わけない。お念仏を真剣にようてくんなせえ。そうせばすぐ取れる」 とようたと。ばさが
「なんまいだ。なんまいだ」
と真剣にようたれば、その面がぽろっと取れたと。それでいきがさけた。


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