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庄屋とキツネ【人とキツネ】越後の昔話集

庄屋とキツネ(越後の昔話)mukasi

庄屋とキツネ【人とキツネ】

―高橋ハナ昔話集―より | おもしろい新潟県の昔話

 
庄屋とキツネ

 あったてんがの。あるどこにキツネがいて人を化かしてどうしょうもないと。村のショが町へ行っで、うんめいもの買ってくると、みんな取られてしもうたと。庄屋さんが村のもん集めて
「悪いキツネが出て困るが、退治してくれるもんはないか」
とようたと。
「おれが退治しる」
と次々と出かけるろも、みんなキツネに化かされてくると。庄屋さんが
「おまえたちのような役立たずはだめだ。こんだおれが
退治してくる」
とようて出かけて行ったと。グングン行ったら、向こうから、きれいな娘がきたと。良く見たら、隣の庄屋の娘だと。娘は
「まあ、庄屋のおとっつぁん、どこへいがっしゃる」
と聞いたと。庄屋さんは
「それよりおまえさんはどこへいがっしゃる」
と聞いたと。娘は
「おらうちのおとっつぁもおっかさんも急に死んでしもうておれ一人になってしまった。おまえさん、おら家にお参りに来てくらっしゃい」
とようたと。
「そら気の毒なことをした。じゃあまあ、お参りさせてもろうか」
とようてお参りにいったと。娘の家に着くと、娘が
「お寺に行ってくるすけ、おまえさん、留守番していてくらっしゃい。次の部屋だけは見るな」
とようて、出ていったと。おとっつぁんは、見るなとよう部屋が見たくてそろっと戸を開けで見たと。ほうしると、その部屋に鏡があって、その鏡見たら、自分の顔が若い、いい男になって映っていたと。
「おらまあ、こんげにいい男になってしもうた」
そう思っているどこへ娘が帰ってきたと。娘が
「おれがあんげに見んなとようたがんに、見たの。そんげに若くなって、それじゃ、うちへいがんねすけ、おらうちの婿になってくんねせえ」
とようたと。おとっつぁは、婿になって暮らしていたと。ほうしたら、娘に子が生まれると。ほうして、娘の腰を抱いて
「ほら、生まれたかや。ほら、生まれたかや」
と真剣にようていたと。うちのほうじゃ、おとっつぁがこらっしゃんねんだんが、キツネに化かされているんでないかと村中のショがそこら探していたと。ほうしたら、おとっつぁんが、山の杉の木に抱きついて、
「ほら生まれたか、ほら生まれたか」
とようていると。うちのショが
「おとっつぁま、どうしたがら。杉の木に抱きついて、さあ、早くうちへいごう」
とようたと。おとっつぁは、
「ばかようているな。おらのかかに子が生まれるてがで、おおさぎ(大騒ぎ)だてがんに」
とようて、のうかたしっかりと杉の木に抱きついていると。村のもんがおとっつぁんをやりむり杉の木から放したと。やっと、キツネから離れて
「ひどい目におうた」
とようて、おとっつぁんは、うちへ帰ったと。いきがさけた。


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