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馬鹿あに【愚か者話】越後の昔話集

馬鹿あに(越後の昔話)mukasi

馬鹿あに【愚か者話】

―高橋ハナ昔話集―より | おもしろい新潟県の昔話

 
馬鹿あに

 あったてんがの。あるとこへかっかとあにがあったてんがの。あには馬鹿で、毎日そこらフラフラと遊んでばっかいると。ある時、ワアワアと泣いて帰ってきたと。かっかが
「おめい、なにしてきたや」
と聞くと、あにが
「よその家で大勢してワアワアなっているんだんが、あんまりおかしくっておれが笑ったれば、『この馬鹿ずべ、ここの大事な人が死んだというがんに、笑うやつがあるか』頭たたかれた」
とようと、かっかが、
「この馬鹿め、それやそうだねか。そんげのどきは、『おれも線香一本上げさせてもらおうか』とようもんだ」
とようたと。また遊びにいったれば、嫁取りがあって、人が大勢あつまっているてんがの。あにが
「おれも線香一本上げさせてもらおうか」
とようたれば、
「この馬鹿ずべ。人がめでたい嫁取りとようのに、線香だなんて、縁起の悪い」
とようて、またあには頭たたかれて、家に泣いてきたと。かっかが
「おめえ、なにしてきたや」
とようたと。あには
「人が大勢いたんだんが、『おれも線香あげさせてくれ』とようたれば、『めでたい嫁取りに何いうか』とまた頭たたかれた」
とようたと。かっかは
「この馬鹿めが。そうよう時には、『おれも歌の一つも歌いましょうか』とようもんだ」
とようたと。
 また遊びにいったれば、人が大勢いて火事場で大騒ぎしているてんがの。ほうしるんだんが、あにが 「おれも歌の一つでも歌おうかの」
とようたと。ほうしたら、そばの人が、
「この馬鹿ずべ。人が火事で大騒ぎしているてがんに、歌ずらねえ」
とまた頭たたかれて、家に泣いてきたと。かっかが
「おめえ、またなにしてきたや」
と聞くんだんが、わけを話しると、かっかは
「この馬鹿めが。そっげの時は、『おれも水のひとつもかけましょうか』とようもんだ」
とおせてくれたと。
 また遊びにいったれば、ある家でとっつぁとかっかがもちをつくとて、火のたきようが悪いのいいのとけんかをしていたと。ほうしるんだんが、あには
「おれも水の一つもかけようか」
と手桶の水をざぶんとかけたと。ほうしたら
「この馬鹿ずべ」
とようて、また頭たたかれて、家に泣いて来たと。かっかが
「おめえ、なにしてきたや」
と聞いたれば、あには
「とっつぁとかっかがけんかしているどこへ、手桶の水をかけた」
とようたと。かっかが
「この馬鹿が。そういう時は、『どっちが悪い。そのけんかおれにくれ』とようもんだ」
とようたと。
 また遊びに行ったれば、こんだ犬がけんかしていたと。あには
「そのけんかどっちが悪い。おれにくれ」
とようて中に入ったと。犬は怒って両方の手にくいつき、あには血だらけになって帰ってきたと。かっかが「おめえ、また何してきたや」
と聞いたと。あには
「おら、犬の喧嘩の中へ入ってくいつかれてしもうた」
とようたと。かっかはあきれて
「この馬鹿、もう外へでねえで、家にいれ」
とようたと。いきがさけた。


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