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水沢謙一氏の思い出【水沢謙一氏の思い出活動】

水沢謙一氏の思い出【水沢謙一氏の思い出活動】mukasi

水沢謙一氏の思い出(『越後山襞の語りと方言』より)

高橋 実 

 
水沢謙一氏の思い出

 長岡の水沢謙一氏との出会いが、私の昔話への門を開いた話はすでに書いた。
 私が宮内小学校を訪問したのは、昭和三十四年だったから、氏が四十九歳の時だったことになる。私の手元に当時の氏のはがきが五通残っている。
一通目
 消印  昭和三十四年十二月十日
 宛名  高田市西城町一丁目新大公孫寮 高橋実
 差出人 長岡市成願寺町 水沢謙一
 本文

 お葉書、ありがたく拝見いたしました、御元気にて勉学、何よりと存じます。 フォクロー(民俗学)に関心を寄せられ、採集に着手されることを嬉しく存じます。十二月二十一日(月)午前九時頃から一時間半くらいならば、何とか都合をつけますから、お待ちいたしております。(学校は二十四日まで)宮内小学校の方に来ていただきたい。年末の休みには、小生《越後のシンデレラ》の採集を研究しております。今秋数十話を採集して、学会にて研究発表しました。
 学校は宮内駅から五分、または、長岡駅から宮内行きのバスにて十分位。バスならば「ふみきり」にて降車して二、三分です。右、御返事まで。十二月十日。

二通目
 消印  昭和三十四年十二月二十八日
 宛名  刈羽郡小国町楢沢
 差出人 長岡市成願寺町 水沢謙一
 本文

 お葉書拝見。早速採集にとりかかれ、成果をあげられ、喜ばしい次第。「米と糠」の話を書いて送ってくれませんか。話の始と終の言葉。方言のまま。話者の氏名・年齢・住所など。「富曾亀民俗誌」は先日ののは、学校用にて、すでに絶版にて、ゆとりがない本ですが、先生方が社会科につかっていますが、しばらくならば、おかせしてもよいです。

三通目
 消印  昭和三十五年六月二十四日
 宛名  高田市西城町一丁目新大公孫寮 高橋実
 差出人 長岡市宮内小学校
 本文

 ずっと前にご苦心の昔話集をお送り下され、礼状も差し上げずに、失礼しました。「富曾亀民俗誌」は、絶版で私がもっていたものも人に貸せたきりになっており、学校の分も人が借りたままになっていますので、近く取り戻してお貸せします。
 あなたの昔話採集について申し上げたいこともありますので、何れ拝眉の節にゆずりたく、せっかくご精進を祈ります。今冬いらい、健康を害していますが、いろいろと採集にでています。

四通目
 消印  昭和三十五年七月二十二日
 宛名  三通目と同じ
 差出人 三通目と同じ
 本文

 おたよりありがたく拝見しました。私の都合は、八月十日午前中、全校招集日ですので、午前九時から十時頃ならばお会いできるかと存じます。こんど長岡市史の編集委員の仕事やら、私の研究で県下採訪や、中魚沼郡の十日町高校地歴クラブの共同調査などがありまして、夏休みは全く寧日がありません。しかし、身体も大切ですので、ドックに少しはいろうかとも考えています。昔話研究グループを作られる由、結構なことで、期待しています。右、御返事まで、七月二十一日。

五通目
 消印  昭和三十五年十月十一日
 宛名  三通目と同じ
 差出人 三通目と同じ
 本文

 「あまがき」御寄贈にあずかり、深くお礼申し上げます。ゆっくり読ませていただくことをたのしみにしています。一段と御勉強あらんことを祈ります。私は、この十月八、九日に日大(東京各大学持ち回り)にて、日本民俗学会があり、「運定め話と産育習俗」の研究発表を終わって、昨夜帰岡いたしました。もし、昔話の採集で産神が産まれた子の一生の運を定めるという昔話がありましたら、ぜひ聞かせていただきたいと、お願いします。お手紙にありましたたように、グループを作るのは、困難なことで、わが道をいく誇りをもって、歩いていただいたら、と存じます。右、お礼まで。

 昭和三十四年に私は、新潟大学高田分校に入学し、休みになるとそそくさと帰郷し、故郷の昔話採集に回っていた。そのころ、氏は、昔話の個別研究に入っておられたようで、しきりにその話を求めている。年譜をみると、昭和三十四年「越後のシンデレラ」を第十一回日本民俗学会で発表している。昭和三十五年には、「運定めの話と産育習俗」という題で十二回日本民俗学会で発表している。私はこのころガリ版刷りの「小国の昔話―その1」を発行して水沢氏に送っている。また童話集「あまがき」も発行して送った。その序で童話作家の与田準一氏が「創作童話の開拓者小川未明先生を生み、また民話の発掘者水沢謙一氏を生んだ新潟の地に『あまがき』の作者が育ったのも偶然ではないように思います」と書いていただいた。

 
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<本の事項>
越後山襞の語りと方言
著者名 高橋 実/著
出版社 雑草出版
出版地 長岡
出版年 2007年
定 価 2200円+税
ISBN 4-903854-00-7

越後山襞の語りと方言
 

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