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昔話集の中のオノマトペ【越後の昔話逍遥】

昔話集の中のオノマトペ【昔話の世界をのぞく】mukasi

昔話集の中のオノマトペ(『越後山襞の語りと方言』より)

高橋 実 

 
昔話集の中のオノマトペ

 はじめに
 昔話集には擬声語・擬態語(オノマトペ)が頻出する。どんな効果があるのだろう。手元の昔話集から拾ってみた。近年、山口仲実『暮らしのことば 擬音・擬態語辞典』(2003年 講談社)が刊行されたが、昔話集には、ここで拾われていないオノマトペが数多く使われている。それだけ、昔話集で使われるオノマトペの豊富さの証明ともなっている。
 擬声語については、辞典類は次のように記している。「擬声語が理解よりも体験に、知よりも情に訴える特性に基き、記号的言語では、簡単にできない迫真的描写力を言語に与える」「みずからの表現力に関する補強結合を発見する」擬態語には「音響には直接関係ない事象の状態などを描写する擬声語の一種。狭義の擬声語が自然の音響を言語音で忠実に直接模倣するのに反し、これは間接模倣。テキパキ仕事する。フラフラになる。キッチリした服。擬貌語・模様語・写容語などとも」(注1)。
 昔話にこのオノマトペが使われるのは、ここにあるように「迫真的描写力を言語に与える」という効果があるためかもしれない。水沢謙一氏は「とにかく擬態語によって昔話の語りが生き生きしてくる。そのものズバリと簡明直戴に正確に表現する。しかも、デリカシーとニューアンスを、惜しみなく表現する。だいたい、昔話はクドクドと、まわりくどい描写表現はとらない。そういう中で、擬態語などは、唯一の有力な描写表現方法と言えるのではないか。」(注2)と述べている。水沢氏は、さらに「その語り方を聞いていると、記憶を助け支えることが三つほどあるのは、伝承者として共通点だった。一つは、ムカシに出てくる、口調のいい、うたのような、ことばだった。たとえば、『三枚の札』のなかの『小僧、小僧いいか』『まだまだビチビチのさかり』のような言葉は忘れがたく、いつも心に残っている。二つは、擬態語の忘れがたい言葉、たとえば、チャカンチャカンと、あかしが見えた。ペランペランとなめたなどの言葉が、印象的で、その情景を明確に浮かび上がらせる」(注3)この言葉に沿って「昔話集のオノマトペ」について考察してみたい。
 注1 「国語学辞典」寿岳章子
 注2 「昔話ノート」水沢謙一
 注3 「昔話を追って」水沢謙一

一 集められた昔話集からオノマトペを拾う
 新潟県には、おびただしい昔話集が出版されている。それらの活字化された本が果たして忠実に口頭言語を写し取っているかどうか、疑問のところもあるが、これらは今問わずに、その書物から忠実に写し取ることに終始した。拾ったオノマトペは次の昔話集を使用した。
 「雪国の夜語り」  水沢謙一   昭和43年
 「赤い聞耳ずきん」 水沢謙一   昭和44年
 「ムジナととっつぁ」 高橋ハナ昔話集 平成7年
 「横越のむかし語り」 横越町     平成12年
 「越後魚沼の昔噺」  山田左千夫   平成14年
 この中から拾い出したオノマトペ425語を50音順に並べて幾つかグループ分けしてみた。語頭がタ行音(濁音含む)から始まるもの81語19%、ハ行音(濁音含む)から始まるもの110語25%。オノマトペには、語頭がハ行音・タ行音ではじまる語が44%を占める。

二 昔話集にオノマトペを分類する
 以下、昔話集のオノマトペを拾い、解説をくわえてみた。また、『擬音擬態語辞典』にどの程度拾われているか、調べてみた。また、ひろわれていても、解説とは違った意味で使われているオノマトペも多い。

一 遠くの明かりが見える状態           *『擬音・擬態語辞典』掲載
オノマトペ 用       例 出  典
チカンチカン 明りがチカンチカンとめえるんだんが 雪国の夜語り 182
チランチラン むこうの方にチランチランとあかしがめえるんだんが 横越の昔かたり 59
テカンテカン あかりがテカンテカンとめえたって 雪国の夜語り 177
*トコトコ 明りがトコトコめえた 魚沼の昔噺 19
*トコトコ 棺おけがトコトコと青い火で燃えたてんだ 横越の昔かたり 163
*トコトコ 火がトコトコ燃えているし 雪国の夜語り 488
ポカリ ポカリと灯が見えてきた 魚沼の昔噺 4
ポカン 竹藪の中にポカンと明しがついた 横越の昔かたり 149

 水沢謙一はほかに「チラリチラリ」「ポカッポカッ」「ピカンピカン」「ヒカンヒカン」「テッカンテッカン」「トコントコン」「トコントコン」「ケタンケタン」などを「昔話ノート」の中で挙げている。
 『擬音・擬態語辞典』では、「チラチラ」を「残り火や蝋燭などの炎、星、灯、薄日や木漏れ日などの弱い光が、あわただしくついたり消えたりするように見える様子。また鮮やかな色が急激に目に入ったり、細かい字を見続けたりして、目が疲れて点滅するように見える様子にもいう」とある。「トコトコ」は@人や動物が、狭い歩幅で足早に歩いたり、走ったりする様子。A乗り物が遅い速度で進む様子。特に一昔前の電車が、のどかに進む様子を連想させる。」火の燃える様子に使う例は書かれていない。「チラチラ」「トコトコ」など二語音の繰り返しは、「チカンチカン」のような三語音のくりかえしの場合より、光が点滅する時間が短い場合に使われる。それに対して「ポカン」「ポカリ」の三語音は、暗い中で急に明るい光が眼に飛び込んでくる場合に使われる。

二 水の音                    *『擬音・擬態語辞典』掲載
オノマトペ 用       例 出  典
アップアップ ムジナはアップアップしてつけてくれ 魚沼の昔噺 9
ガボガボガボ ガボガボガボと川をこざいておっかけてくる 赤い聞耳ずきん 241
ガボッと 田んぼにガボッと飛び込んだ ムジナととっつぁ 47
*クタクタ けつに穴があいていて水がはいるとクタクタという 横越の昔かたり 224
ザッボーン 池の真ん中めがけてザッボーンと飛び込んだ 魚沼の昔噺 23
*ザブザブザブ ザブザブザブと川をこいでくる 雪国の夜語り 423
ジャグジャグポンオキキィ ジャグジャグポンオキキィてて蛙が川に飛びこんだ 横越の昔かたり 261
ジャンジャン 頭からジャンジャン水をかけた ムジナととっつぁ 136
ジョウ しょんべんをジョウとしていた 赤い聞耳ずきん 188
ジョジョ しょんべんをジョジョとこいていた 雪国の夜語り 581
ダボーン 大川の橋の真ん中からダボーンと投げ込んだ 横越の昔かたり 178
*チョンチョン 水をチョンチョンチョンとちっとずつ注いだ 魚沼の昔噺 122
チョンチョン 水のようなものがチョンチョンおちてひしゃくがおいてあった 雪国の夜語り 188
トボトボ ザトンボがトボトボ井戸の中へおちてしもうた 赤い聞耳ずきん 182
ドボン 川の中ヘドボンと落ちた ムジナととっつぁ 103
パシャパシャ パシャパシャと泳ぎ回っていた 雪国の夜語り 232
パチャコーン 橋のてっこうからパチャコーンと川へなげたと 魚沼の昔噺 91
*パチャン ダイロがしふろの中ヘパチャンとおったての 赤い聞耳ずきん 391
ポコポコ 水がポコポコはいってくる 赤い聞耳ずきん 391
*ポンポン ひしゃくでポンポンと煮え立った汁をかけた 赤い聞耳ずきん 348

 「ガボガボ」@大量の液体がぶつかり合いながら流れる時の激しい音。また、そのようにして大量の液体を飲む様子。A腹の中で音がするくらい、水分を取りすぎた様子。
 「クタクタ」@ひどく疲れた様子。A衣服や書類、葉物の野菜などがしなびた様子。B全身の力が抜けてしゃがみこむ様子。
 「ザブザブ」水をくり返し大きく揺すらせたときに発する音。また、汁や茶漬けなどを掻きこむ音。
 「チョンチョン」@拍子木まどを続けて打つ、調子よく高く響く音や様子。A点などを続けて二つ、あるいは、いくつも打つ様子。B次から次へとすばやく物事をくり返し行う様子。また、小さなもの が軽やかに調子よく連続して動く様子。
 「トボトボ」@元気のない足取りで、うつむき加減でさびしそうに小股で歩く様子。A疲れ果てたり、勢いがなく衰えた様子。
 「バシャバシャ」水が物に当たったり、揺れ動いたりしてはねる音。また、その様子。水をかきまぜる、水の入った容器を振る。大量に水をかけるなどの場合に用いる。
 「バチャン」人や物が水に飛び込んだり、落ちたりした時、水がはねかえって出る音。
 「ボンボン」@勢いのよい様子。質量の大きな物が次々と飛んだり、建物が立ち並んだりしている様子を表す。A火事などで火が勢いよく燃える様子。またその時の爆発音。
 物が水中に落ちて立てる水音でも「ドボーン」は重くて、長い反響音を残し、水面に接する面積の小さいものが立てる水音である。それに対して「ガボッ」は、反響音がなく、すぐ水中に沈んでしまうものが立てる水音である。「バチャーン」「バチャコーン」は容積が大きく平たいものが、立てる水音である。「パチャーン」は濁音「バ」より軽そうなものが立てる水音になる。

三 移動の状態                  *『擬音・擬態語辞典』掲載
オノマトペ 用       例 出  典
ウンコラウンコラ その山ウンコラウンコラ駆け上って 雪国の夜語り 418
*ガサガサ サルはガサガサと山から出てきた 雪国の夜語り 457
*グリグリ お寺の周りをグリグリ回って 横越の昔かたり 113
グヮラグヮラ 地震がきたようにグヮラグヮラよごいた 雪国の夜語り 295
*シャンシャン ウサギはシャンシャンと走らねかったろもこんだ道草食わねで、 横越の昔語り 38
チチガタチチガタ ネズミがチチガタチチガタみんな逃げていった ムジナととっつぁ 79
チッチッガラガラ ネズミはチッチッガラガラチッチッガラガラといんなどっかへ隠れてしもうた 雪国の夜語り 466
チャカチャカゾロゾロ 金色のもんがピカッと光ってチャカチャカゾロゾロ下へ降りてきた 雪国の夜語り 556
チャッチャッ 地獄からチャッチャッと出してしまえ 横越の昔かたり 118
チョキン カニがはさみでチョキンとサルの首を切った ムジナととっつぁ 194
*チョコチョコ 返事チョコチョコと書いて渡した ムジナととっつぁ 169
チョコチョコ チョコチョコしていておちつきがない 赤い聞耳ずきん 227
*チョコン 馬がチョコンと止まって ムジナととっつぁ 98
*チョロチョロ サルはチョロチョロと木に登ったと ムジナととっつぁ 194
*チョロチョロ ネズミが一匹チョロチョロしている 雪国の夜語り 136
*チョロチョロ チョロチョロとアネサは掛け軸にはいってしもうた 雪国の夜語り 548
*ツー はなの穴ヘツーとはいったと 雪国の夜語り 136
*ツルツルツル 権兵衛がツルツルと粟の穂の上にあがった時に ムジナととっつぁ 179
ツルン コタツに頭突っ込んでツルンと入ってツルンと出る 赤い聞耳ずきん 452
テンコシャンコテンコシャンコ 猫が庭のすみっこで逆立ちして足をテンコシャンコテンコシャンコしたと 魚沼の昔咄 146
テンツクテンツク ネズミたちはテンツクテンツク踊って見せた 雪国の夜語り 469
*テンテン 猿は臼かずいてテンテンと山のてっぺんまで行った 横越の昔かたり 31
*トボトボ ザトンボが杖をついてトボトボあえんできた 赤い聞耳ずきん 183
トントコトントコ トントコトントコ大急ぎで戻る 魚沼の昔咄 117
ドンドンドン ドンドンドンと逃げてきた 雪国の夜語り 405
ヌーッと 右の足をヌーッと出したら ムジナととっつぁ 120
*ヌラヌラ 蛇がヌラヌラと向こう岸に泳ぎ着く 魚沼の昔咄 58
*ノソノソ クマがノソノソと行った 横越の昔かたり 179
*バタバタ しんしょうがバタバタと悪くなって 雪国の夜語り 272
*バタバタ ウグイスになってバタバタ飛んでいったそうな 雪国の夜語り 167
*バタンバタン ちんこい子がバタンバタンと這ってきて 赤い聞耳ずきん 446
バッタラコーン フッケロはバッタラコーンバッタラコーンと山を飛んで下る 魚沼の昔咄 218
バッタラバッタラ 蛙はバッタラバッタラついていったと ムジナととっつぁ 242
*バッタリ バッタリや床についたてや 雪国の夜語り  
*ヒョコヒョコ 鬼っ子がヒョコヒョコ出てきた 雪国の夜語り 634
*ピョコンと 蒲原獅子がピョコンと出てきたって 雪国の夜語り 335
*ピョコンピョコン でっこいキツネになってピョコンピョコンと山へ逃げていった 赤い聞耳ずきん 280
ヒョツンヒョツン 米粒が障子の隙間からヒョツンヒョツンと入ってきて 横越の昔かたり 169
ヒョンコラヒョンコラ 長い脛を出しヒョンコラヒョンコラと追いかける 魚沼の昔咄 115
*ピョンピョン カワズはピョンピョンととんで 赤い聞耳ずきん 466
ファファファ ひしゃくでポンポンと煮え立った汁をかけた 雪国の夜語り 633
フーッと おぜんが池のそこからフーッと浮いて ムジナととっつぁ 25
フワーッと 幽霊のかかフワーッと消えた ムジナととっつぁ 69
フワフワ、フワー 水の輪がフワフワ、フワーと広がった 魚沼の昔咄 116
*フワフワと 烏が一羽フワフワとたってきて ムジナととっつぁ 30
フワフワと フワフワと幽霊が出てきて 雪国の夜語り 398
ホイホイ サルがホイホイと出てきた 雪国の夜語り 479
ホウホウ あんにゃはホウホウして逃げてきて 横越の昔かたり 84
*ポカッと ばけもんがポカッとけえてしもうた 赤い聞耳ずきん 170
*ポカン 金魚がポカンと水の中へもぐっていった 赤い聞耳ずきん 248
*モコモコ めくらっこがモコモコと出てきて 雪国の夜語り 207
モザモザ アリがひとつモザモザとでてきたと 雪国の夜語り 156
モジョモジョ カニはモジョモジョとあがってくると 雪国の夜語り 382
*モソモソ ガニはモソモソではってきた 雪国の夜語り 372
*モソモソ 亀がモソモソ水の中へはいっていごうとすると 雪国の夜語り 637
ヤザモザヤザモザ ガニはモソモソではってきたヤザモザヤザモザもぐっていく 雪国の夜語り 377
*ワサワサ んなのカエルがワサワサと逃げていった 雪国の夜語り 556
ワザワザワザ カニの子がワザワザワザといっペこと這い出してきて 赤い聞耳ずきん 163

 これだけの語を「移動の状態」で括ることは、かなり無理があるようである。「ガサガサ」は木の葉のすれる音や紙を開くときの音などで、擬声語と言ってよいかもしれない。ネズミの「チチガタガタ」などは、ネズミの鳴き声も入っている。「バタバタ」「バッタンバッタン」は大きな動物がゆっくり、移動するとき、地面を足で叩く音も入っている。一般的には、「バタバタする」のように、忙しく立ち回るときにも使う。「バッタンバッタン」は、風で戸が開いたり、閉じたりするときの音にも使う。これも半濁音「パ」が語頭に来ると、もっと体重の少ないものの足音・羽音になる。鷹や鳶は「バタバタ」飛び、蛾は「パタパタ」飛ぶことになる。「チョロチョロ」などは、小さい動物が忙しく移動する状態である。軽いものが空中に浮いて、漂う状態が「フワフワ」「フワー」ということになる。語頭に「モ」の入った、「モソモソ」「モコモコ」「モジョモジョ」などは、小さいものが群を成して、ゆっくり移動する状態に使われる。「ワサワサ」は多くの人や動物が大勢集まっている状態を言う。大勢の人の声がする「ザワザワ」とは違っている。

四 金属の発する音                *『擬音・擬態語辞典』掲載
オノマトペ 用       例 出  典
*カチンカチン カチンカチンと鍬にあたる音 ムジナととっつぁ 67
*カチンカチン カチンカチンと刃がこぼれる 赤い聞耳ずきん 373
*ガラガラ 金の鎖がガラガラと降りてきた 赤い聞耳ずきん 30
*カリカリ 鍋の下カリカリ 雪国の夜語り 153
ザンガラリン ザンガラリンと中から金がいっぺい出てきた 雪国の夜語り 445
ザングラコーン ザングラコーンと銭の音がした 魚沼の昔咄 165
*シャラシャラ かんざし挿してシャラシャラ音いわして 雪国の夜語り 174
*シャンシャンシャン シャンシャンシャンと鈴馬の音がして 雪国の夜語り 244
*チンチンチン チンチンチン馬の鈴音いわして 雪国の夜語り 225
*リンリンリン 夜中にリンリンリンと馬の鈴音がして 雪国の夜語り 234

 金属音を上げてみた。カチンカチンは金属と金属がぶつかる音である。ガチッというのもある。カチンより大きいものに触れる音である。鍋の下を金属でこする音も、カリカリは小さい音で、ガリガリとなると大きな音になる。三枚の札の昔話で山姥が石を噛み砕く場面、カリカリではなく、ガリガリの方が凄みが出てくる。小判の触れ合う音、ザングラコーン、ザンガラリンは、袋の中の小判を投げつける音も入っている。鈴音も「シャンシャン」「チンチン」「リンリン」となるが、それぞれ違いは見当たらない。

五 物を噛む音                  *『擬音・擬態語辞典』掲載
オノマトペ 用       例 出  典
アクンアクン モチをアクンアクンと食っていた 赤い聞耳ずきん 530
ガリモリガリモリ かずのこガリモリガリモリ食った 横越の昔語り 243
*クチャクチャ 米をクチャクチャ噛んでいた 雪国の夜語り 394
*ムシャムシャ 婆さは鯖をきっぱりムシャムシャ食てしもうて 横越の昔語り 132
ムリムリ ムリムリ頭から尻尾まで食ったと 魚沼の昔咄 112

  ものを食う状態のオノマトペである。一般的にモリモリ食うという語がある。その昔話バージョン が「ムリムリ」となる。ガリモリは歯で噛み砕く状態になる。梅の実をカリカリ食うというように、力行音で食べる様子を表現する。カリカリは、つつましやかで小さいが、ガリガリとなると豪快である。

 昔話集のオノマトペまとめ
 以上、集めたオノマトペのほんの一部しか紹介しなかったが、その中でさえ、次のような特徴をまとめることができる。
一 昔話のオノマトペが頻用されるのは、聞き手の想像力を助ける効果をねらう。昔話で山姥が小僧の顔をなめる場面では、「ペロペロ」では、犬が喜んで飼い主の顔をなめるようで、恐ろしい実感がわいてこない。「ペランペラン」と三音語を長く延ばして使うことにより、恐ろしさを強調する。
二 昔話に出てくるオノマトペは、擬音・擬態語辞典の意味にのっていないか、もしくは載っていても、別の意味で使うものが多い。
 オノマトペは、一定の決まりの中で、個人的造語が多いのではないか。遠くの明りはタ行音ハ行音の畳語のなかでつくられる。それに語中に「ン」「リ」などを入れて作られる。チカチカ、チャカチャカ、チラチラ、ポカンポカンの相互間に違いは認められない。どの語を使うかは、個人的、地域的な違いによるものが多い。
四 半濁音から濁音に変わるにつれて、物の重量が増えてくる。

    注 この原稿は平成十六年、ことばの会で発表したものに加筆したものである。

 
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<本の事項>
越後山襞の語りと方言
著者名 高橋 実/著
出版社 雑草出版
出版地 長岡
出版年 2007年
定 価 2200円+税
ISBN 4-903854-00-7

越後山襞の語りと方言
 

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