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パネラー発言 行政から見た渋海川 | へんなか

行政から見た渋海川hennaka

へんなか パネラー発言「行政から見た渋海川」

行政から見た渋海川                  北原 進

 建設課の北原でございます。私に与えられましたテーマは「行政から見た渋海川」でございますが、行政の立場で渋海川に対する特別な知識や、これといった考えなど持ち合わしておりませんので、御期待に添えるようなお話はできないと思いますが、お聞き流しをお願いいたします。
 いずれにいたしましても行政の立場からの渋海川を考える時、川は「安全である」ということが基本でございます。
 また川は、常に奇麗でなければなりません。そしてその奇麗な川を次の世代へ引き継いで行くことが私共の使命ではなかろうかと考えております。
 そのような立場で与えられた時間の中で災害の無い安全な河川の管理、及び、これからの河川行政はどのように進められて行くのか、というようなことについて発表してみたいと思います。
 一口に河川と申しましても河川にも大小色々ございますが、日本で一番長い川ということになりますと、信濃川ということになります。流域面積等で申しますと、利根川であるとか北海道の石狩川といった非常に大きな川もございますが、今日のテーマになっております、渋海川は、小国町に関係する川では一番大きな川でございます。
 源流は松之山町から発しておりますけれども松代、川西、そして小国、越路、長岡市から信濃川に合流しておるわけでありますが、信濃川水系の一級河川に指定されております。
 延長にしまして私の資料では、指定延長でございますけれども、七〇・六キロでございますが、同じ信濃川水系の一級河川である魚野川は、六六・七キロと記憶しております。渋海川の方が四キロ程長いのであります。これはあくまで全延長ではなく、指定延長でございますので、そのように御承知おきください。
 渋海川については、先程来色々と話がございましたが、人々との色々な関わりの中で今もこうして流れているわけであります。人間は遠い昔そこに河川周辺を水田として開発をして、水の恩恵によつて生活をして参りました。
 また反面、洪水による災害等で尊い人命や田畑を押し流されるという、遠い昔から川と人間との戦いの歴史でもあったのであります。
 「水を治める者は国を治める」という格言もございますけれども、如何に水を治め、そして川を制するか、ということは大変な仕事であったわけでございます。
 災害ということで、私共の一番記憶に新しいところでは、今から丁度十年前の、昭和五十三年の六・二六災害がございます。たしか六月二十五日の夕方から降り続いた雨が、二十六日〜二十七日早朝にかけて大変な豪雨となったわけであります。そういった中で河川が至る所で氾濫をして田畑を押し流し、道路が至る所で分断をされ、尊い人命まで失うという、小国町にかって無い大きな災害をもたらしました。  川は常に安全であるということが基本でございますけれども、河川法は明治二十九年に初めて制定されまして、その後昭和三十九年の七月、法律第百六十七号で新しい河川法が制定されて現在に至っているわけであります。
 河川法の目的は、「洪水、高潮等による災害の発生を防止し、河川が適正に利用され、流水の正常な機能が維持されるよう、これ等を総合的に管理することにより公共の安全を保持する」というふうに規定されております。
 先ほど、渋海川は信濃川水系の一級河川であると申しましたが、渋海川を含めて現在小国町には二十ケ所の指定された一級河川がございます。概ね一集落一河川くらいの割合で存在しております。これ等の河川は本来建設大臣が管理することになっております。しかし、「法令の定める処によって都道府県知事に委任をして行わせることができる」となっております。
 そういうわけで、今小国町の二十一ケ所の一級河川はすべて県知事が管理をするということになっております。
 先般八月二十三日に、県の砂防課長を町長がお招きをいたしまして、小国町の河川を具さに視察をしていただき陳情申し上げたところでございます。
 河川行政は道路行政に比べますと、大変遅れております。今年度小国町で計画されております一級河川の整備事業費が約二億四千万円程でございます。
 ちなみに今建設省が第七次治水整備五ケ年計画を実施中で、その総投資規模は十二兆五千億円であります。これを道路整備費に比べますと、道路整備五ケ年計画第十次が六十三年度を初年度として発足いたしました。その規模は五十四兆円でありますから、河川整備は道路整備の四分の一にも充たないのであります。
 しかしながら、ある資料によりますと、昭和三十年代は、この河川に投入する事業費もまた道路に投入する事業費もほぼ同額であったということであります。これから考えますと現在の河川事業費が如何に少なくなっているかということが分かるのであります。日本の道路行政が遅れているということで、ガソリン税という道路特定財源を創設し、道路整備を強力に推進してまいりました。
 そんなことで昨年だったと思いますが、森林河川緊急整備税というような、河川も特別の財源確保が必要だということで計画されたようでありますが、最終的には国民的な同意が得られずに実現せず、現在に至っております。
 元来河川行政は何年に一度、発生するかしないか分からない災害に向けて投資するわけでありますから、大変地味でかつ効率の悪い投資であるわけであります。
 しかしながら、河川法の目的である、災害の発生を防止して、公共の安全を保持するという基本理念からすれば、河川行政こそ大変重要な事業であると考えられるのであります。
 今まで申し上げましたのは、治水事業の面でありますが、一方利水の面にいたしましても、昨年利根川の渇水ということで首都圏は大変な問題になり、信濃川の水をトンネルを掘って首都圏に送るとか、奥只見の上流の尾瀬の水を利根川の上流に流して使用するとか、いろいろ取沙汰されたようでありますが、最終的には関係地域の強い反発によってお流れになったようであります。
 これは根本的に申しまして、日本全国の年間降水量は千七百八十ミリと言われておりますが、世界の平均降水量八百ミリに比べますと、非常に恵まれているわけであります。しかしながら、日本列島は北東から南西にかけて細長く、四つの島から成っております。その延長が約二千キロと言われておりますが、巾は三百キロぐらいでございます。その真中を二千メートルから三千メートルの山々が縦走しており、その山から海に向かって川が流れております。一番長い信濃川でも三百七十六キロ程度でございますので、降った雨は非常に勾配が急ですので、急激に海に流れ出すという状況であります。
 それならば貯水ダムを作ればいいではないか、ということになりますが、建設省が今進めておりますのは、貯水ダムではなく、治水即ち砂防ダムが多いのであります。
 話が、渋海川の話とは遠ざかり恐縮でありましたが、いずれにいたしましても建設省ではこれからの河川行政というのはこういう治水は勿論でございますが、地域の人に親しまれる河川整備が必要であるとして、最近「せせらぎとふれあいの水辺環境」であるとか、「ふるさとの川モデル事業」といった、人と川とのふれあいの場としての河川整備や水際(ミズギワ)空間の美化について検討を進めているようであります。
 河川敷を利用したゲートボール場であるとか、また河川の一部を整備して河川プールであるとか、また魚釣場というような場を造っていくことが必要なのではないかと考えます。
 そのような中で、また河川の両岸に大きな堤防を造って、そこに桜並木を造成していくというようなことが二十一世紀へ向けての河川行政の方向ではなかろうかと思っております。
 川は私達の生活にとってかけがえのない大切なものであります。渋海川をより安全で、しかも、より美しく奇麗な川にして次の世代に引き継いで行くことが、これからの私共の最大の使命ではなかろうかと考えております。
 今渋海川は私共の生活からだんだんと遠ざかり、忘れ去られようとしております。渋海川の両岸を見ますと、川があたかもゴミ捨場や、生活の雑排水の処理場と化してしまっている観があり、誠に残念なことであります。
 これを今日ご参会の皆さまをはじめといたしまして町民が一致結束して川の浄化に努め、以前のような美しく奇麗な川に甦らせて、またカジカや小魚たちがスイスイと泳ぎまわるような川にしていきたいものと痛感している次第であります。
 私の発表は、どうも渋海川とかけ離れた内容になってしまいましたが、この辺で終わらせていただきます。

(きたはらすすむ・小国町役場建設課長)

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