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特集:八石山 花の山、八石 | へんなか

花の山、八石hennaka

へんなか 随筆 「花の山、八石」

花の山、八石                   内山 貞男

 八石へ通い始めたのは今から十八年前、横沢の家内の母に連れて行ってもらったのが始まりでした。
 それ以来、毎春四〜五回ずつの八石詣でが続いているのです。
 なぜそんなに八石に惹かれるのか―。
 八石の魅力は―
 まずは山菜、これは誰も異論のないところだと思います。続いて、私がもっとも魅せられるところの花の多さと、亜高山型の花の群生地の存在です。
 四月、五月に見られる花だけでも、思いつくまゝに挙げてみると、
 オオバキスミレ    マルバキスミレ
八石山の花  スミレサイシン    ノジスミレ
 タチツボスミレ    ナガハシスミレ
 カタクリ       ショウジョウバカマ
 アズマシロカネソウ  ネコノメソウ
 キクサキイチゲ    シュンラン
 トキワイカリソウ   エンレイソウ
 ヤマエンゴサク    サンカヨウ
 サワオグルマ     オカオグルマ
 ニリンソウ      シラネアオイ
 イワカガミ      センボンヤリ
 ノアザミ       ムラサキサギゴケ
 カキドオシ      キランソウ
 ヒメハギ       ウラシマソウ
 ヒロバテンナンショウ
 コシノチャルメルソウ
八石山の花  チゴユリ       ユキザサ
 アマドコロ      ナルコユリ
そして木の花では
 マンサク       コブシ
 タムシバ       キブシ
 アブラチャン     ヤマザクラ
 ユキツバキ      ウワミズザクラ
 ウラジロヨウラク   ホオノキ
 タニウツギ      キバナウツギ
 ノダフジ       ヤマツツジ
 レンゲツツジ     ムシカリ
 イワナシ  等々
 六月に入れば、更に種類は増えてゆきます。こんなにたくさんの花が咲いている八石は、植生の豊かな山だとつくづく思います。
 この中で、私がとてもめずらしいと思う花が、二種あるのです。それは、「シラネアオイ」と「サンカヨウ」。本来はいずれも深山〜亜高山帯に咲く花です。
 登山を趣味としている私は、今までそれらの花に方々で会っておりますが、大低は標高一五〇〇m以上の高山でした。それなのに、わずか標高五一八mの八石の山腹にそれらの群生地があったのです。この群生地を初めて見た時の驚きと興奮は、今でも鮮やかに甦ります。無中でカメラのシャッターを押し続けました。
 それ以来、毎春それらの花に会う喜びでワクワクしながら、二台のカメラを肩に八石へ通い続けているのです。
 しかし、残念な事にこの春、この内の「シラネアオイ」の群生地が亡くなってしまいました。心ない人に、見るも無惨に盗掘されてしまったのです。八石の山がとても住み良いと、そこに群生している植物をなぜに―、ただただ、茫然としてしまいました。盗った人も、きっと花を愛する心優しい人に違いありませんが、八石の自然を、花の美しさを一人占めにしようとせずに、もっと大きな視点で見て欲しいと願わずにはいられません。この様な盗掘が繰り返されるなら、「花の八石」も先が短いと、悲観的になってしまいます。
 シラネアオイの森、サンカヨウの沢、ニリンソウの滝、カタクリの丘、ネコノメソウの湿原― どれも私が勝手に名前をつけて呼んでいる群生地です。
 来年もきれいな花をいっぱい咲かせてくれる事を願い、私の「八石賛花」といたします。

(うちやまさだお・長岡市在住 昭和22・1生れ 日本山岳会会員)

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