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「はらから」 | 第三小説集『さつきの花』

はらからworks

はらから 8

 広作ととりの金婚式が、湯沢温泉のホテルで行われた。ことし、ともに七十三歳になった広作ととりの、七人の子供たちはすべて結婚し、それぞれに孫ができ、つい一カ月前に生まれた和男の子供をふくめて、十四人の孫たちがいた。四十四歳になったミチの、長男はすでに高校を終えて就職していたし、末っ子の友江も三十歳を迎え、三人の子持ちだった。七人の子供たちが、それぞれ夫婦して、子をつれてこの式に参列し、広作ととりの兄弟も招ばれたから、その数は三十名を優に越えていた。このホテルの大広間も、この一族のものたちで埋まり、まだ学校に入らない小さい孫達は、舞台といわず、並べられた膳の回りといわず寝ころんだり、走り回ったりした。
 会が始まると、長男の利一が、子供の代表として、広作ととりへの感謝の挨拶をした。今まで、大ぜいの子供を育ててくれたことへのお礼をのべ、いつまでも長生きしてほしいと述べた。二郎が、中橋家の跡を継いで、父母と一緒に暮らしていたから、この計画は、二郎が中心になって作られた。式が終わると、みんなでまた家へ押しかけて、ここで飲み直す計画が練られていたが、満の家族だけは、仕事があるので、家へ寄らずにそのまま帰るという。満の長男で小学一年生になる満男と、二郎の長女のことし五歳になる千代子が広作ととりに花束を捧げた。そのあと二郎のそばに座って、参列者を眺め回していた千代子が二郎の方を見ていった。
「ミチおばさんも、利一おじさんも、ミエおばさんも、満おじさんも、和男おじさんも友江おばさんも、みんなおとうさんのキョウダイなの? うわあー、おとうさんのキョウダイって大ぜいいるんだね。わたしはお兄ちゃんとたった二人。おとうさんみたいにキョウダイがいっぱいいたら、どんなに楽しいだろうなあ」

 
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