本文へスキップ

竹之高地そばまつり | 悠久録(長岡新聞コラム)

悠久録column

竹之高地そばまつり

 長岡市の蓬平温泉からさらに奥の竹之高地のそばまつりに行ってきた。ここは教員生活を途中で辞めて紙漉きに専念した原刀利松さん(故人)の故郷である。原さんはその著書『神と仏と人と化けもんの邑 たけんかうちの話』の刊行を目前にして一昨年1月に他界された。その原さんの下で和紙作りに携わってきた人に勧められての訪問だった。
 かつてこの地は戸数60世帯で小学校もあったのに、今は定住している家は一軒のみである。そば祭りに参加している人たちはすべてここに住んでおらず、近隣から通ってきて耕作しているという。その昔戦いに敗れた武将原美濃守がこの地を開いたため、ここの姓はすべて原であるとか。
 集落入り口の不動社社務所前のテントでおいしいそばをいただいた。集落中央に4階建ての「竹山舘」という建物があり、ここに絵や太田小中学校の子供たちの俳句が展示されていた。原さんが「しと絵」と呼ぶ和紙の絵も飾ってあった。
 原さんは本のあとがきに「人々は今地域の活性化と称しながら、実は一方的に利用することしか考えていないようである。百年の計を考えるなら、人と山とは互いに利益を与えあって生きる。つまり共生する方向を目指す必要がある」と書いている。
 そして、「かってムラの原型であった『邑』を思い起こしてみたい」とし、「そこでは山々の木を育て、無理のない開墾をし、田や畑を耕し、水を管理してきた豊かといえないが、大自然に溶け込んだ心豊かな生活があった」という。
 そばを啜りながら原さんの理想を考えた。(ひこぜん)


※「悠久録」は長岡新聞の一面コラムです。

 > 竹之高地そばまつり >