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雪の季節を迎えて | 悠久録(長岡新聞コラム)

悠久録column

雪の季節を迎えて

 いよいよ雪の季節になった。今年の雪の量はどれだけか。巷で話題になる。雪国の育ちであれば、初雪と根雪の違いなど説明が要らないであろうが、初雪は雪の来る前に間もなく消えてしまういわば雪の前触れと言ってよい。それに対して根雪は翌春まで消えることのない雪である。
 冷え込んだ雨のある日突然雨が雪に変わる。雪交りの雨がみぞれである。人々は「白いものが降ってきた」と言い合って雪の季節への準備が急がれる。高山に三度目の雪が里の根雪といわれる。
 今から60年前の少年の頃の雪を迎える準備は大変なものであった。雪が降ると外仕事ができない。一冬中の燃料と食料を家の中に貯える必要がある。そして雪に耐える家の外回りの囲いもしなければならない。まず燃料はボヨとコロといういろり用の木材である。ボヨは枝の先の細い部分や細い雑木を束に丸めたものであり、コロは薪である。一冬中の燃料を家の中に取り込んでおかねばならない。たいてい天井裏に溜めておいた。そして食料である。大根など野菜はそれぞれの貯蔵方法があった。大根は玄関前に藁で囲った直径が1メートルほどの円柱状の大根タテの中に保管した。サツマイモは家の床下に掘った芋穴と呼ぶ地下穴のモミガラの中に保存した。
 家屋を雪から守るにはまず窓を雪から守るために落とし板とよぶ厚い板を溝にはめ込んで雪の圧力を防いだ。落とし板を家の周囲にはめるとそのために光が入らず、家の中が真っ暗になった。文字通りの冬眠生活、それでも人々は元気である。(ひこぜん)


※「悠久録」は長岡新聞の一面コラムです。

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