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団子撒き | 悠久録(長岡新聞コラム)

悠久録column

団子撒き

 3月15日にはお寺で団子撒きがある。小学校のころ昼休みに近くの曹洞宗真福寺に団子拾いにいった。「団子撒き」とは「涅槃会」の事である。涅槃会はお釈迦様が亡くなり、入滅されたことを「涅槃に入る」ということから「涅槃会」と呼ばれている。涅槃に入ったとされる日に行われる仏教の法会である。
 一般にその日は陰暦2月15日とされ、今は一か月遅れの3月15日に行うところが多い。この日は大きな「涅槃図」を飾る。お釈迦様が入滅(お亡くなりになる事)したときの様子を描いたもので、横たわっているお釈迦様の周りを弟子や動物たちが取り囲んで死を悲しんでいる絵である。
 天井には天女が描かれ、雲の上から見下ろしている。脇の木には袋が下がっている。これは天女がお釈迦様に下さった薬が入っているという。この絵にまつわる様々な話が伝わる。その薬を取りに行ったネズミを猫がたべたので、猫は十二支の仲間に入れない。スズメはあまりに急いだために、お釈迦様に躓いてしまい、今でも歩くときは足が不自由である。
 さらにホトトギスは化粧して死に目に会えず、悲しんで鳴きながら血を吐いているともいう。「泣いて血を吐くホトトギス」のことばは、ホトトギスの口の中が赤いことからつけられたようだ。この日に拾った団子を腰につけて山に入るとマムシに噛まれないといわれる。山に入るときは毛糸で編んだ袋に団子を入れ、身につけてゆくという風習も伝わっている。
 団子撒きの時期が過ぎると雪国もいよいよ待ちに待った春がやってくる。(ひこぜん)


※「悠久録」は長岡新聞の一面コラムです。

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