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雪語り | 悠久録(長岡新聞コラム)

悠久録column

雪語り

 3月24・25日に「おぐに雪まつり」が実施された。先週まで降っていた雪もやみ、絶好の祭り日和であった。メインは小国中学校前グランドの「雪上エンデューロ」であったが、筆者の担当は、25日の小国養楽館脇の「みんなの体験館」で行われた、「おぐに雪語り」であった。
 これは午前・午後の二部に分かれ、南魚沼市から来た横川恵子さんによる「琴演奏」「瞽女唄公演」そして地元の語り部中村シマさん、松田薫さんによる昔話の語りであった。参加者は午前午後合わせて約1〇〇人、大きな感動を与えることができた。
 横川さんの瞽女唄の中心は、祭文松坂「巡礼おつる」。これを午前は「旅立ちの段」・午後「巡礼唄の段」と2回に分けて唄った。祭文松坂とは、物語唄である。瞽女さんが泊めてもらった宿で唄う唄で、何段にも分かれて唄うので、「段物」ともいわれている。
 「巡礼おつる」は人形浄瑠璃としてもよく知られている。阿波の徳島十郎兵衛は、殿様から預かった刀を盗まれ、それを探しに女房のおゆみと旅に出る。3つになったばかりのおつるを祖母に預けてゆく。その両親を探して9歳になった幼いおつるは巡礼の旅に出る。大阪で、母のおゆみとばったり再会するが、父親十郎兵衛が山賊姿に身をやつしているので、母と名乗ることができない。その母親おゆみの動揺する心を切々と三味線とともに歌い上げる。その切ない母親の心情は聞く人の心に刃物のように迫ってくる。当時このようなつらい親子の別れを経験した人も多く、自らの生涯と重なって聞いたにちがいない。(ひこぜん)


※「悠久録」は長岡新聞の一面コラムです。

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