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「ねまる」という方言 | 悠久録(長岡新聞コラム)

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「ねまる」という方言

 「ねらそんげのどこへねまってばっかいねえで、ちったうごけや」(おまえたちそんなところにすわってばかりいないで少しは動きなさい)
 先日の民話の会の例会で、この中の「ねまる」という方言が話題になった。「ねまる」は寝るという意味かという質問が出た。新潟方面下越出身の仲間だった。「ねまる」は座るという意味であるが、下越では使われないようだ。でも、方言集などには「ねまる」が下越地方の一部で使われるところもあるとか書かれてある。
 「涼しさを わが宿にして ねまるなり」松尾芭蕉(奥の細道)古語においては、「うずくまる」、または「くつろぐ、楽に座る、寝そべる」などの意味で使われていたようだ。芭蕉の句は、山形県尾花沢市を訪れたときに、泊めてもらったお宅でのんびりくつろいだことを感謝して詠んだ句だという。
 この「ねまる」は全国的に使われている方言で、富山の観光情報誌には『ねまるちゃ』と名付けている。「ねまる」とは富山弁で「座る・休む」の意味で、富山でゆっくりくつろいで欲しいという願いをこめたつけたネーミングという。
 この「ねまる」という語東北と九州では意味が違うという。東北では古語通り「ゆっくり座る、くつろぐ」という意味であるが、九州では食べ物が「腐ってだめになる」ことを言う。
 「ねまり仏は立ち仏」の諺がある。「立っているものは親でも使え」という意味になる。
 ねまるという意味に似ている語で、「ながまる」という語を使う所もあるという。これはゆっくり寛ぐという意味らしい。(ひこぜん)


※「悠久録」は長岡新聞の一面コラムです。

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