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屋根の雪下ろし | 悠久録(長岡新聞コラム)

悠久録column

屋根の雪下ろし

 空き家の屋根に厚く雪が残っているのを見る。雪が50センチや1メートルも積もるとどこの家でも一斉に屋根の雪下ろしだった。豪雪地帯は雪下ろしではなく、雪掘りと呼ぶ。高い屋根に梯子をかけて雪の積もった屋根に乗り移る。梯子から屋根に体を移す作業が難しかった。高い雪山にシャベルを使って足場を確保してから屋根に乗り移らなければならない。トタン葺きの屋根にはナゼ止めと呼ばれる板状の鉄材が屋根の傾斜を横切る形に渡されていて、滑らないようになっていた。
 萱葺屋根の時にはグシと呼ばれる屋根の高所から回りながら下に向かって掘っていった。腰の高さ位の雪の山をひたすら四角に断ち切って投げ飛ばす仕事だった。
 広い屋根には雪樋を使って滑り落とした。雪樋は30センチほどの板に縁をつけて中に蝋を塗り滑りやすくした長さ2・3メートルほどの道具だった。これらの道具は昭和に入ってからの発明品で、西洋のベルトコンベアーをヒントにして作ったと云われる。
 こうした屋根の雪下ろしも近年の屋根材料の進歩で少数派になってきた。屋根の勾配を急にして雪が滑り落ちるような工夫がなされるようになった。ただし、この方式は家の周囲に広い敷地が必要で、町場のような屋混みでは使えない。そこで、屋根裏に電熱を通して屋根の上で雪を溶かしてしまう電熱式屋根雪融雪システムが使われるようになった。
 屋根の雪下ろしは危険が伴い、毎年のように転落事故が起きる。屋根の端にせり出した雪庇に気づかず踏み抜いてしまうためだ。今年も雪の事故に気をつけたい。(ひこぜん)


※「悠久録」は長岡新聞の一面コラムです。

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