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ドナルド・キーン・センター柏崎 | 悠久録(長岡新聞コラム)

悠久録column

ドナルド・キーン・センター柏崎

 連休中の5月、柏崎市諏訪町の「ドナルド・キーン・センター柏崎」を訪ねた。ドナルド・キーン氏(1922〜2019)は、米国出身で日本文学と日本文化研究の第一人者である。文芸評論家としても多くの著作があり、日本に帰化している。
 なぜ「ドナルド・キーン・センター」が柏崎にあるのか。柏崎市は、平成19年中越沖地震に見舞われた。その折キーンさんの勧めで古浄瑠璃「越後国柏崎 弘知法印御伝記」が上演され、地震で意気消沈の柏崎市民を勇気づけた。
 この古浄瑠璃台本はなんとイギリスの大英博物館に残されていて、日本には残っていない資料だった。なぜ大英博物館に眠っていたか。語ると長くなるので省くが、ともかくもこの上演とキーン氏を結びつけたのが、柏崎市のブルボン吉田記念財団だった。
 そして、4年後の平成23年3月11日、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)が発生する。これに伴って発生した津波、およびその後の余震により福島第一原子力発電所事故が起こった。キーン氏は、東日本大震災の混乱の中、今こそ日本人になる時と決意し、日本国籍取得を表明。家具などを処分して平成25年9月、永住のため来日した。
 氏が日本文学や日本文化を世界に向けて発信する場であったニューヨークの書斎等は存在しなくなった。これを受けブルボン吉田記念財団は、前述のセンターをオープンさせここにニューヨークの書斎を再現した。
 本年2月キーン氏は亡くなったが、稀有な日本文学者は同センターを通じて、日本と心を繋いでいる。(ひこぜん)


※「悠久録」は長岡新聞の一面コラムです。

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