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アジサイの花 | 悠久録(長岡新聞コラム)

悠久録column

アジサイの花

 6月に入ると、アジサイがよく似合う季節になる。アジサイは紫陽花の漢字を当てる。ガクアジサイと呼ばれるアジサイは日本が原種と言われる。
 この花をテーマの昔話がある。魚沼市大栃山に明治21年に生まれ、魚沼市大倉に住んでいた佐藤ミヨキさんである。『ミヨキさんのざっと昔』の本の中に「あじさいの花」というタイトルの話が載っている。魚沼市で筆者もミヨキさんの話を聞いたことがある。その時はもう百歳を超えていたはずである。その後まもなく亡くなられた。
 ある所に爺さんと婆さんが住んでいて、その年は空梅雨で梅雨になってもなかなか雨が降らずに困っていた。そこへ若い男がやってきて「喉が渇いて困っているので水をもらいたい」と入ってきた。婆さんは機嫌よく柄杓の水を汲んでやると男はおいしそうに飲んでいた。それから毎晩のようにその男は水もらいにやってくるようになった。お婆さんはいつも機嫌よく、男に水をやっていたが、そのうちに雨が続くと男は来なくなった。季節は冬になってしまうと、今度はお婆さんが病気になって食欲がなくなって、病気になってしまった。冬になって爺様が婆様に「何か食べたいものはないか」と聞くと山桑のいちごが食べたいという。こんな雪の中に桑のいちごなどあるはずがない。ある晩若い男がやってきて、いちごがあったといって、婆さんの所に持ってきた。それは夏の暑い盛りに水もらいに来たあじさいの変身した姿だった。お婆さんは喜んで山桑のいちごを食べたらだんだん元気になった。
 今年の梅雨はどうなるのだろう。(ひこぜん)


※「悠久録」は長岡新聞の一面コラムです。

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