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昔話 味噌買い橋 | 悠久録(長岡新聞コラム)

悠久録column

昔話 味噌買い橋

 第14回長岡民話百物語が終った。そのなかで「箸の夢」という語りを2人の人が語った。この話は別名「味噌買橋」ともいわれる。
 正直で信心深い男がいた。あるとき夢に老人が出てきた。「味噌買橋に立っていると、いい話が聞けるぞ」その日から男は味噌買橋に立った。ところが誰も話しかけようとしない。2日たち、3日たっても変わらない。いよいよ諦めかけた5日目。橋のたもとにある豆腐屋の主人が話しかけてきた。夢の話をすると、豆腐屋の主人が笑って言う。「夢の話を信じてずっと立ち続けているなんてなんとバカな。早く帰って仕事をした方がいい。私も夢に老人が出てきて、どこそこに誰々が住んでいて、その家の裏にある杉の木の根元に宝が眠っていると言っていたが、誰々と言われても私は知らないし、第一そんな夢を信じる気になれない」突然自分の名前を言われ、挨拶もそこそこに急いで帰ったその男。家の裏にある杉の木の根元を掘ったら話の通り、宝がザクザクと出てきたという。
 この話は一体何を言おうとしているのだろうか。幸福はそう簡単に手に入らないというメッセージを伝えようとしているのだろうか。それとも幸福は身近にあるのに人は気づこうとしないと言いたいのだろうか。
 外国にもメーテルリンクの「青い鳥」の話がある。病気を治すために青い鳥を探して旅に出るが、青い鳥は自分の家の鳥籠にいた。本当の幸せは手の届く身近なところにあるのだということに気づいた話である。
 身近にある幸福に人々は気づかない。(ひこぜん)


※「悠久録」は長岡新聞の一面コラムです。

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