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巻口省三氏講演会 | 悠久録(長岡新聞コラム)

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巻口省三氏講演会

 巻口省三氏の「私の文学放浪記」の講演があった。令和元年10月26日、場所は刈羽村生涯学習センターラピカに出かけた。巻口氏は昭和8年刈羽村正明寺生まれ。刈羽村郷土研究会で、「刈羽村文化」編集長として活躍されている。永く教員生活を送られ、会場にはかっての教え子たちも参加されていた。巻口氏とは長年の付き合いがあり、筆者宅にも来られたことがある。
 著書に『柏崎刈羽文学散歩』があり、柏崎刈羽ゆかりの人達が紹介されている。氏の文学との出会いは、旧制中学一年の時読んだ林芙美子の『放浪記』だった。それまでは冒険活劇、探偵推理小説などに親しんでいたが、この本で初めて「文学の眼」を開かれ、思春期の自我に目覚めさせられたという。その次にあげられたのが黒岩涙香翻案アレクサンドル・デュマの『巌窟王』だったという。帰宅後この二人の人物をネットで調べた。
 そして巻口氏のもう一つの分野が短歌である。教職にあった時に新聞に投稿し、初めて選者の歌人吉野秀雄に短歌を褒められた。吉野秀雄に思いをいれ、吉野が療養中に加入していた同人誌『河』を古本で手に入れ、その全集未収録の短歌・随筆などを調査して本にまとめた。その後歌人佐藤佐太郎への想い、そして柏崎出身の国文学者玉井幸助などにも話が及ぶ。その多彩な文学への傾倒ぶりには頭が下がる思いであった。(ひこぜん)


※「悠久録」は長岡新聞の一面コラムです。

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